【一般質問解説②】大津市総合計画第2期実行計画策定に向けて

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 現在、大津市総合計画 第1期実行計画(2017年度~2020年度)の折り返し点となっています。新年度予算では次期(第2期)実行計画の策定に向けて市民意識調査や骨格作りなどが進められていくことになります。

 市議会の議決事項に「総合計画実行計画(基本計画部分)」が含まれており、大津市の発展に向けて執行機関は議会や市民の意見等も確認しながら、次期計画の策定を進めていく必要があります。

 この8年間の議員活動を通じて、行政評価制度の有効活用や総合計画や行政計画の策定作業における「体系」の重要性、エビデンスベースの政策作りの必要性を述べ続けてきました。大津市ではこの数年間、市民意識調査を実施してこなかったことなど、課題が多かったと思います。
 次期実行計画の計画期間は2021年度~2024年度までとなっています。
 いま質問に取り上げることで、ほんの少しかもしれませんが6年後の大津市の問題までカバーできるのではないかと考え、政策作りの根本の部分について取り上げることとしました。





Q(藤井)
 基本構想の実現をめざし、2021年度からの4年間を計画期間とする第2期実行計画の策定を今後2年間かけて行うことになります。
 限りある財源を用いて多種多様な市民ニーズを充足させていく必要があり、新年度に行う市民意識調査等やその前段階の準備作業は大変重要であると考えています。また、実行計画は議決を伴うものであるので議員の意見を十分に考慮しながら、行政機関が有する資源を駆使し、大津の発展につながる計画が作られることを強く願っているところでもあります。
 ところで第2期実行計画策定に関する質問を行うに当たり、ヘンリ・フォードの「もし顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らは“もっと速い馬が欲しい”と答えていただろう」という有名な言葉を引合いに出したいと思います。この言葉は、顧客は自分が欲しいまだ見ぬモノを知らないので、イノベーターは単に顧客の声を聞くだけではなく、顧客に対して新しい価値を創造し具体的に形として提示する必要があるという風に私は解釈しており、単に商品開発の枠にとらわれず、顧客満足度を高めるための思考法として非常に重要であると捉えています。
 そのような観点から考えると、これまでのように市民意識調査を行って重要度と満足度のクロス分析を行うだけでは不十分であると言えます。いま、デジタルガバナンスやオープンイノベーションなど横文字だらけの聞きなれない言葉を耳にしますが、社会の中のあらゆる場面で破壊的イノベーションが起きており、不確実性が高い社会変化の渦中にあって、各種資源を有する行政は顧客たる市民に対して新しい価値を具体的に形として提示していかなければなりません。
 本市ではEBPM、エビデンスデータに基づいた政策づくりを新年度から本格化させようとしています。当然このEBPMは総合計画第2期実行計画の策定にも用いられるべきだと考えます。十分に市民ニーズを把握したうえで、その市民ニーズを構成する因子までディープに分析し、アート思考を折りまぜたEBPMによって効果的な施策を検討していくことが、これからの行政には求められているように考えます。
 そこで第2期実行計画の策定に向けて、今後どのように調査及び分析、そして施策立案を行おうとするのか見解を伺います。

A(政策調整部長)
 第2期実行計画の策定に向けて、今後どのように調査及び分析、そして施策立案を行おうとするのかについてでありますが、第1期実行計画の進捗結果を踏まえた上で、市民意識調査や総合計画策定懇談会などを実施し、市民の皆様や有識者からの意見を十分に取り入れていきたいと考えております。
 加えて、今年度からデータラボで推進しているEBPMにつきまして、複数の部局にわたって取り組みを行っており、市が保有するさまざまなデータを分析することで、潜在的な課題やニーズを把握し、より効果的な施策の立案に向けて努めているところであります。
 今後も、データ分析アドバイザーや民間事業者などの専門的な見地も取り入れたEBPMの考え方を大切にして、第2期実行計画策定に取り組んでまいります。以上、私からの答弁といたします。


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 総合計画にこそEBPMを活用すべきです。
 女性活躍施策など個別事業にデータエビデンスを用いた政策企画立案を取り入れることはもちろん良いことだと思いますが、それは単に市長の肝いり政策に対する実績をエビデンスで評価しようとする取り組みに過ぎません。女性活躍と所得増加などの相関関係があることは様々な学者による研究でもう十分に明らかになっており、今更ながらEBPMを導入する余地はほとんど残されていません。
 それよりも市のもっとも重要な計画である「総合計画 実行計画」にこそ、EBPMは用いなければなりません。さらに実行計画策定に用いることによって全庁的にEBPMの基本概念や使い方が浸透するはずです。
 
 担当課に聞くと、総合計画策定過程へのEBPMの導入に関しては模索をしているようです。
 ぜひとも大津市では頑張って取り組んでほしいと思っています。


フジイテツヤ








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